



2009年01月10日 (土) | 編集 |
![]() | ![]() | ![]() |
![]() | ![]() 日本フィルハーモニー交響楽団 第51回さいたま定期演奏会 1/9(金) 19:00開演 於:大宮ソニックシティ 1. チャイコフスキー:戴冠式祝典行進曲 2. チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 3. ドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界より》 《アンコール》 ドヴォルザーク:スラブ舞曲第10番 日本フィルハーモニー管弦楽団 指揮:アレクサンドル・ラザレフ | ![]() |
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【ラザレフ氏の圧倒的存在感!】
明日以降のラザレフ氏の就任披露公演に先駆けて、さいたま定期でラザレフ氏の快演を聴くことがができました。みなぎる緊張感、あふれる躍動感、まばゆいほどの色彩感、精緻な構想力にすっかり陶酔・心酔してしまいました。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザークの新世界というと、数々の演奏を耳にしてきた、ある意味手垢にまみれた楽曲です。こんなスタンダードな名曲であっても、ラザレフ氏の入魂の演奏では、総毛が逆立つほどの緊迫感をひしひしと感じました。
新世界の第2楽章では、牧歌的な哀愁というよりも切々と胸を打つはりつめた情感を感じてしまいました。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ8人でのアンサンブルでは、涙腺をくすぐられてしまうようなえもいわれぬ感動を覚えました。
一方で、フルオーケストラによる高潮感、絶妙な間をとりつつテンポを自在に操るドライブ感の秀逸さ・・・。うまく言いつくせませんが、何ともこんな感激できる演奏に出会えたことを心から感謝したい気持ちでいっぱいです。
比べるのは不遜だとは思いますが、先に聴いたベルリン交響楽団での「新世界より」(記事はこちら)でのように楽曲を自家薬籠中のものとして、楽しんで演奏するというスタイルも味なものがありますが、今回の日本フィルのように全員がわき目も振らず全力疾走するスタイルには圧倒的なド迫力を感じました。もっと言えば、ベルリン交響楽団の演奏は伝統にもとづいたパターンの組合せ、言わばイージーオーダー的な演奏。今回の日本フィルでは、既成のパターンを一切リセットし1から組み立て直す仕立て服のような演奏とでも言えるでしょうか。そこに斬新さ、真新しさを感じました。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。山田晃子さんは、22歳の新進気鋭のヴァイオリン奏者。ラザレフ氏の手厚いサポートのもとで、十分にその魅力が表出されていました。張りのある魅力的な音色から、クライマックスに向けての雄渾な弓遣いなど、とても楽しみなヴァイオリン奏者です。オケとの息も見事にぴったりで、寸分の狂いもなくオケとかみ合っていた点も、ラザレフ氏の類まれなる実力の1つでしょう。
【日フィルに変革をもたらすラザレフ氏】
日本フィルHP(こちら参照)でも、日本フィルに「変革」をもたらすラザレフ氏というキャッチフレーズがみられます。ラザレフ氏の就任で、日本フィルは変わりましたね!楽団員全員がラザレフ氏の要求に必死に食らいついてという真摯な姿勢が明らかに見てとれましたし、しっかり求めるものをつかみつつありますし、楽団員と指揮者とのいい意味での緊張感と一体感が結実しつつあるように感じました。ぜひぜひラザレフ氏の求める高みにさらに迫っていってほしいと思います。
どちらかというとふだんは、アットホームで余裕のある雰囲気の日本フィルですが、今回の演奏では、退路を断たれた狼たちとでも言うのでしょうか、精神一到ともいえるひたむきさをもった闘士たちにさえ思えました。尊敬できるマエストロに応えるため、自分たちのありったけの力を発揮しようとする意気込みから、大きな変革の兆しをくみ取ることができました。
【首席指揮者ラザレフ氏】
2008年9月~2011年8月までの3年間、日本フィルの首席指揮者を務めることになったアレクサンドル・ラザレフ氏の就任披露公演は、
2009年1月10日(土)第328回名曲コンサート サントリーホール
2009年1月11日(日)第181回サンデーコンサート 東京芸術劇場
2009年1月16日(金)17日(土)第607回東京定期演奏会 サントリーホール
と続きます。今回のさいたま定期と同じプログラムが、1/10で演奏されるほか、1/16・17にはプロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクトvol.1が始まります。
ラザレフ氏のリハーサル風景は、日本フィルHPのこちらで紹介されています。「マエストロ・ラザレフの場合、リハーサル自体がとても練られているんです。とにかく無駄が無い。長々と説明するタイプではなく、必要な点だけを確実に着々と詰めてゆくのです。その意味では非常に計画的かつ合理的なのですが、それが決して機械的ではないんですね。」(上記からの引用文)。演奏を聴いていても無駄がないテキパキとしたリーダーシップぶりがうかがわれました。
向けられる拍手の対象は自分ではなく、楽団員なのだ、そして聴衆の皆さんなのだということをジェスチャーで何度も繰り返し示していたラザレフ氏。人柄がよく表れている気がしました。
過去の日本フィルの記事は、さいたま定期50回、第175回日本フィルサンデーコンサート、さいたま定期49回、さいたま定期48回、さいたま定期47回、さいたま定期46回
来期さいたま定期(2009.3~2010.1)では、ラザレフ氏の公演は組まれていません。聴くとすれば、都内の公演チケットをねらっていくしかありませんね(^_^;)。もうやだのここまでの手放し礼賛記事はそうそうないですよ(爆)


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