2008年06月03日 (火) | 編集 |
石井宏著「帝王から音楽マフィアまで」(新潮社)を読みました。
「音楽マフィアが操るクラシック」や「カラヤンはこうして堕落した」などの記事は、非常に辛口な内容で度肝を抜かれましたが、「モーツァルト、その知られざる遺言」には心から感動しました。
「モーツァルト、その知られざる遺言」。内容を簡単に紹介します。
ホルン協奏曲第1番は、長らく「1番」とされてきたが、近年の研究によるとこの曲はモーツァルト晩年の絶筆で、ジュスマイヤー(レクイエムを補筆完成させた人物)によって完成された。この曲にはホルンのソロパートに「バカ、出番だよ」「うまいぞ、へたくそ」「ここは次はうまくやれよ」などの野次が書き込まれている。この野次はモーツァルトと親しかったロイトゲプに当てて書かれたものである。一見悪口のようだが、いたずら好きのモーツァルトが気心を許した間柄である証拠とされる。
ロンドンに向かうハイドンと別れる際、モーツァルトは「これが最後の別れのような気がする」と話している。死期を既に悟ったモーツァルトは、果たせなかった友人たちとの約束を果たすために、「ピアノ協奏曲27番」、「弦楽五重奏曲(K614)」、そして、親しかった旅回りのシカネーダー座長のために「魔笛」、妻の世話を頼んでいる司祭シュトールのために「アヴェ・ヴェルム・コルプス(K618)」、悪友であったクラリネット奏者シュタードラーのために「クラリネット協奏曲」を書いていく。そして、最後の義理を果たすべく、ホルン奏者ロイトゲプのためにホルン協奏曲を書きはじめるが、第2楽章の40小節目まで書いたところで、ついに絶筆となった。「うまいぞ、へたくそ」などの野次は、ロイトゲプに対するモーツァルトの遺書でもあったのである。
筆者の「ピアノ協奏曲第27番」に対する寸評があまりにも素晴らしいので、引用しておきます。
「淡彩の水墨画のようにすべての色を落として、淡々と描かれている。それは秋の斜陽の中にひとり残された枯れ枝のようでもあり、この曲に彼岸の響きを感じる人は多い」
そして、ピアノ協奏曲27番以降の作品について筆者は「生涯のそれまでに書いた音楽とはその内容を一変させている」と述べています。
当方、「ピアノ協奏曲第27番」「クラリネット協奏曲」という晩年に書かれた作品に限りない愛着と畏敬の念を覚えます。「身も心も洗われるような」「体から煩悩が消失してしまうような」「息を止めて瞑想したくなるような」そんな比類のない名曲だと思います。このブログでもクラリネット協奏曲の聴き比べをしたりと、思い入れたっぷりなわけですが、その理由の一端を筆者は言い当ててくれた気がして、小躍りする思いでした。筆者はこの稿について「私の心からの愛情告白」とも述べています。
かなり極端な意見ですが、これらの晩年の作品群がなかったら、モーツァルトは、ハイドン・ヘンデル以上に賞賛・評価される作曲家とはなり得なかったのでないかとさえ思います。
他の内容も非常に面白いので、また機会があったら紹介させて頂きます。


「音楽マフィアが操るクラシック」や「カラヤンはこうして堕落した」などの記事は、非常に辛口な内容で度肝を抜かれましたが、「モーツァルト、その知られざる遺言」には心から感動しました。
「モーツァルト、その知られざる遺言」。内容を簡単に紹介します。
ホルン協奏曲第1番は、長らく「1番」とされてきたが、近年の研究によるとこの曲はモーツァルト晩年の絶筆で、ジュスマイヤー(レクイエムを補筆完成させた人物)によって完成された。この曲にはホルンのソロパートに「バカ、出番だよ」「うまいぞ、へたくそ」「ここは次はうまくやれよ」などの野次が書き込まれている。この野次はモーツァルトと親しかったロイトゲプに当てて書かれたものである。一見悪口のようだが、いたずら好きのモーツァルトが気心を許した間柄である証拠とされる。
ロンドンに向かうハイドンと別れる際、モーツァルトは「これが最後の別れのような気がする」と話している。死期を既に悟ったモーツァルトは、果たせなかった友人たちとの約束を果たすために、「ピアノ協奏曲27番」、「弦楽五重奏曲(K614)」、そして、親しかった旅回りのシカネーダー座長のために「魔笛」、妻の世話を頼んでいる司祭シュトールのために「アヴェ・ヴェルム・コルプス(K618)」、悪友であったクラリネット奏者シュタードラーのために「クラリネット協奏曲」を書いていく。そして、最後の義理を果たすべく、ホルン奏者ロイトゲプのためにホルン協奏曲を書きはじめるが、第2楽章の40小節目まで書いたところで、ついに絶筆となった。「うまいぞ、へたくそ」などの野次は、ロイトゲプに対するモーツァルトの遺書でもあったのである。
筆者の「ピアノ協奏曲第27番」に対する寸評があまりにも素晴らしいので、引用しておきます。
「淡彩の水墨画のようにすべての色を落として、淡々と描かれている。それは秋の斜陽の中にひとり残された枯れ枝のようでもあり、この曲に彼岸の響きを感じる人は多い」
そして、ピアノ協奏曲27番以降の作品について筆者は「生涯のそれまでに書いた音楽とはその内容を一変させている」と述べています。
当方、「ピアノ協奏曲第27番」「クラリネット協奏曲」という晩年に書かれた作品に限りない愛着と畏敬の念を覚えます。「身も心も洗われるような」「体から煩悩が消失してしまうような」「息を止めて瞑想したくなるような」そんな比類のない名曲だと思います。このブログでもクラリネット協奏曲の聴き比べをしたりと、思い入れたっぷりなわけですが、その理由の一端を筆者は言い当ててくれた気がして、小躍りする思いでした。筆者はこの稿について「私の心からの愛情告白」とも述べています。
かなり極端な意見ですが、これらの晩年の作品群がなかったら、モーツァルトは、ハイドン・ヘンデル以上に賞賛・評価される作曲家とはなり得なかったのでないかとさえ思います。
他の内容も非常に面白いので、また機会があったら紹介させて頂きます。
この記事へのコメント
モツのクラリネット協奏曲、
2007年だったか、N響/ザビーネ・マイヤーでの
演奏をテレビで見ましたが、素晴らしかったです。年間ソリストで選ばれてたのかな、たしか・・・。モツP27も、2楽章にいつもホロリ・・・。熱狂の日でモツの時、小山さんが弾かれましたが、それが素晴らしくて・・・!こちらの本、分厚くなければ(笑) 読んでみたいと思います^^
(分厚いのは、漫画も苦手なわたくし・・・恐縮です、笑)
2007年だったか、N響/ザビーネ・マイヤーでの
演奏をテレビで見ましたが、素晴らしかったです。年間ソリストで選ばれてたのかな、たしか・・・。モツP27も、2楽章にいつもホロリ・・・。熱狂の日でモツの時、小山さんが弾かれましたが、それが素晴らしくて・・・!こちらの本、分厚くなければ(笑) 読んでみたいと思います^^
(分厚いのは、漫画も苦手なわたくし・・・恐縮です、笑)
軽く読める感じの本ではないんですが、随筆が1冊の中に10編くらい入ってまして、1編ずつは20ページくらいです。この著者かなり辛口です。こんなこと書いていいの?って感じ(笑)
ザビーネ・マイヤーはCl協のCD何枚か出してますが、どれも気品があって素敵ですね。N響との共演も記憶に残るステージでした。モーツァルトの熱狂の日のときも、小山様でお聴きになったんですね。さぞかし、味わい深いモーツァルトだったでしょうね。うらやましいです(^^)v
ザビーネ・マイヤーはCl協のCD何枚か出してますが、どれも気品があって素敵ですね。N響との共演も記憶に残るステージでした。モーツァルトの熱狂の日のときも、小山様でお聴きになったんですね。さぞかし、味わい深いモーツァルトだったでしょうね。うらやましいです(^^)v
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私も一度は行ってみたいです。
テレビでは何度か見た事あるんですけど・・
茅葺き屋根がこれだけそろって見られる所ってないですものね。
赴きがレイコ【展覧会】日本の美術館名品展 《日本の絵画編》>レイコさま コメントありがとうございます。日本では見かけないようなポプラ並木の風景ですよね。フランスは北海道くらいに緯度が高いので、そんな風土もあってか、きりっとした空気もうやだ都道府県庁所在地を使った人名>がちゃ子さま ご回答お寄せいただきありがとうございます。そそ、先に答え書いちゃうとつまらないので、がちゃ子さんのご提案により、答え後出しにしました〜。おかげさまで、記事書くもうやだ【展覧会】日本の美術館名品展 《日本の絵画編》ステキ♪黒田清輝 ポプラの黄葉
無条件で奇麗ですね。
向こうはポプラ並木なんですね・・パリのステキな紅葉にウットリしました。
実際に絵もそうですが、この景色をパリで見てレイコ都道府県庁所在地を使った人名私のために・・・答えを後回しに(笑)
という事で、早速思いついたわよん^^
水戸泉www
ダメ、やっぱり!?
ま、普通に歌手の金沢明子とか
宇都宮餃子、名前じゃないけど
女がちゃ子都道府県庁所在地を使った人名>musicさま 貴重なご紹介ありがとうございます。日時があわないですが、また同じような企画があったらお知らせくださいね。サイトをごらんの皆様もぜひHPのリンクをご覧になってみてもうやだよっしぃのお留守番>トリコさま よっしぃは、いつも首を長くして待っていて、お土産にも期待しているようです。ときどき、マクドナルドで、パンとお肉とチーズだけという特注のチーズバーガーをお土産にもうやだN響定期 Cプロ 6/12 夏の夜の夢>stephさま 喜びも悲しみも〜は、大昔名画座でみましたが、とにかく長い映画だったという記憶があります。そうそう、特に変わったことがない日常の中で、自然の厳しさや孤独と戦いなもうやだN響定期 Cプロ 6/12 夏の夜の夢喜びも悲しみも幾歳月10代で見て、古い映画で特別なことは何もないけれど家族の支え合う姿にじーんときた覚えがあります。
うちの祖父は、若い頃の写真を見る限りでは豪傑というよりは佐田啓二steph