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【展覧会】 ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅 府中市美術館
2012年11月07日 (水) | 編集 |
夢に、デルヴォー
ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅

 2012/9/12~11/11 府中市美術館 HPはこちら

ベルギーのシュールレアリスムの画家、ポール・デルヴォーの回顧展。出品作品約80点のうち、半数以上が日本初公開作品です。
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(夜明け 1944年)
上記の代表作「夜明け」を例にしますと、「古代神殿」「無表情なうつろな瞳の女性」というデルヴォー独特のモチーフが印象的です。しかも、全く異なるモチーフを組み合わせるデペイズマンの手法が見られます。

11月4日は、府中市美術館の学芸員音ゆみ子さんによる、展覧会講座「ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅」が行われました。BS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」(毎週火曜20:00放送/HP)での解説もとてもわかりやすかったので、この講座に合わせて訪れました。

【展覧会講座「ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅」】
11月4日午後2時開始。モニター画面を見ながらの約90分ほどの講座でした。なかなかの大盛況で、見当で80名くらいの参加者で空席なしの状況でした。

1. どのようにして独自の画風にたどりついたのか
2. デルヴォーのシュルレアリスム マグリットと比較して
3. モティーフをめぐって
 という骨子で話が進められました。当方の理解力・表現力が著しく劣るため、講座内容と異なる部分が多々あると思います。ご容赦ください。

1. どのようにして独自の画風にたどりついたのか
 デルヴォーにとっては作風が確立するまでの期間が非常に長く、デルヴォー独自の画風と私たちが理解しているような作品を描くようになるのは、40歳を超えてからだったそうです。それまでは、セザンヌ、ルノワール、ピカソ、モディリアーニ風の作品を描くなど迷走の時期が続きました。シュールレアリスムとの出会い、さらには「スピッツネル博物館」での衝撃的体験が、デルヴォーの作風を大きく一変させることになります。〈スピッツネル博物館とは、移動サーカスのような見世物小屋的、疑似科学的な摩訶不思議な博物館で、こんな怪しげなものにデルヴォーが惹かれたというのも意外で楽しいですね〉(〈〉内は拙見)。

2. デルヴォーのシュルレアリスム マグリットと比較して
 同時代の画家マグリットとの作風や作品の比較が行われました。

3. モティーフをめぐって
 (1)裸婦 (2)骸骨 (3)汽車 (4)鏡
 汽車は、無類の鉄道好きで駅長になりたかったというデルヴォーが好んで用いたモティーフです。特に音さんのご指摘のように「汽車の背後」(走り去る後ろ姿からの汽車の絵)を描くことが多かったという点も大変興味深く思いました。または、異次元・異空間を結ぶ素材として効果的に用いられている場面も多いですね。〈三日月や古代神殿などもモティーフとしてよく組み合わせられていますね〉(〈〉内は拙見)。

【主要展示作品から】
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(訪問Ⅳ 1944年)
無表情な女性二人。二人は視線も合わせていません。この微妙な違和感無機質感が素敵ですね。また、ドアを通して別世界が開けており、「ドア」は「鏡」と同じように異空間を結ぶツールなのでしょうか。

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(行列 1963年)
ランプを持ちギリシア彫刻のような布をまとった無表情で同じ顔の裸婦たちの行列。道の下には走り去る鉄道。遠景には邸宅が並んでいます。このようなデルヴォーの絵画世界は「幻想的」と呼び慣わされることが多いですが、必ずしも「幻想的」という言葉に縛られなくてもよいと思います。どことなく冷たい無機質さ、距離を保っていたいような疎外感、そんな独自世界を醸し出しています。

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(トンネル 1978年)
一見神殿のようですが、正面にトンネルがあり、汽車の背後がトンネルからのぞいています。右上にはプラットホームがあります。前方左の鏡に写った少女が注目点ですね。鏡の中の少女は、私たち見る側の世界の人なのでしょうか。それとも、鏡の中の世界の住人なのでしょうか。この絵では、汽車、裸婦、鏡という主要3つのモティーフが用いられていますね。描かれている人物を1人1人全部なぞってみたところ、全員が女性のように見えました。断定は禁物ですが…。上記でも触れたシュールレアリスムの手法「デペイズマン」(異なるモティーフを組み合わせる)が効果的に用いられていて(特に鏡の少女)、何となくドーパミンが出てくるような爽快感、心地よささえ感じます。

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(夜の使者 1980年)
遠方に古代神殿や小高い丘を見下ろすような大きい通りに、夜の使者が訪れています。中央こちら向きの使者は習作段階では男性として描かれ、また手前の女性たちは室内にいる構図で描かれていましたが、完成版は室内か室外かがわからない微妙な空間に人々が集っています。中央の路面電車が昔懐かしいような独自の温かさを加えています。

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(エペソスの集いⅡ 1973年)
裸婦、汽車、鏡とモティーフが揃ったとてもデルヴォーらしい作品。1品挙げるとすれば、今回一番のお気に入り作品です。古代神殿というのもモティーフの1つに挙げてよいですね。当方近代建築にとり憑かれていますので、デルヴォーの作品の魅力に惹かれていった過程の中にこの「古代神殿」のモティーフの妙というのがあるに違いありません。


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(会話 1944年)
裸婦、骸骨、骸骨の影の3つが同じポーズを取っています。「骸骨」がモティーフの作品で、デルヴォーの描く骸骨からは決して恐怖・不気味さという印象を受けず、どこかコミカルな味わいがあります。

ベルギー絵画には、1)「ベルギー幻想美術館」Bunkamuraザ・ミュージアム(2009年)、2)「アントワープ王立美術館コレクション展」東京オペラシティアートギャラリー(2010年)⇒(記事はこちら)と親しみ始めて、今回のデルヴォー展で心を射抜かれてしまいました。

府中市美術館での会期は残りわずか(~11/11)ですが、下関市立美術館にて開催され、さらに来年1月には再び関東に戻ってきて、埼玉近代美術館に巡回します。ですから、まだまだみるチャンスはありますよ。当方も埼玉近代美術館でも再度鑑賞しようかと考えています。 

これまた会期終了が迫っていますが、同じくベルギーの画家アンソールの展覧会も11/11まで損保ジャパン美術館で開催されています。行きたい気持ちは非常に強いですが、果たして間に合うか(・o・)

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★★★★
展覧会講座の参加者は10名くらいで、気軽にいろいろ質問したりできるかなという予想で出かけたのですが、あまりの盛況ぶり、満員具合に驚きました。運動不足の私めにとって、北府中駅から徒歩30分の府中市美術館はいい運動になりました。途中に東京農大の馬小屋があります。また行きたいです。レクチャーに参加するのもあまり経験がないので今後はこういうときを狙って行きたいです。大変勉強になりましたし、興味をそそられて関心度が異常なまでに急上昇しました。
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